高度な働き方(年収)の設定
このページでは、下記について解説しています。
自営業の年収についての考え方
「年収」の定義
当ソフトでの自営業の年収は、基本的に次の金額を入力して下さい。
自営業の年収 =
売上収入から、仕入や経費の支出額を引き算した、最終的に自分の家計に入れる金額
事業収入から事業に必要な支出を引いた残額が、手取り収入(家庭に入れる生活資金)という考え方を取り、これを年収額として取り扱います。
したがって、売り上げの金額を入力するわけではない点に、ご注意ください。
事業所得との違い
上記計算式は、事業所得の額とは異なる算式です。
下記のイメージイラストをご参照ください。
この年収計算式のもとでは、確定申告書や会計帳簿をもとに、
収入−仕入−支出を伴う経費額
を計算する必要があります。
この計算がしづらい場合の割り切った考え方として、事業所得額を年収額として使用する方法もあります。
(詳しくは後述しています。順にお読みください)
社会保険料と税金の計算式への反映
現実の制度の下では、上記イメージ図の「事業所得」の額をもとに、社会保険料と税金の計算が行われます。
しかし当ソフトでは、入力された年収額をそのまま事業所得とみなして、社会保険料と税金の計算を行います。
実際の事業所得よりも高い金額をもとに、社会保険料と税金の計算をすることになるため、実際よりもやや高めの社会保険料と税額が算出されます。
これを、「現実よりも少し支出が多い、厳しめのシミュレーション」と割り切って、ご理解いただけますと幸いです。
「事業所得=年収」として計算する考え方もあります
ここまでで説明した計算式で年収を計算すると、それなりに高い精度でシミュレーションができます。
しかしもう少し簡易的にシミュレーションをしたい場合には、確定申告書に記載の「事業所得の額」を、年収額とみなして当ソフトに入力して、ご利用いただけます。
事業所得の額は、確定申告書にも記載があり、入力しやすい金額です。
事業所得は一般的に、キャッシュの増加額(実際に家庭に入れる収入の額)よりも少ない金額となります。
そのため、実際より低い年収額を用いた厳しめのシミュレーション、と割り切って行うこともできます。
この厳しめの収入額で将来の家計に問題がなければ、一時的な収入の減少があっても、耐えやすくなるでしょう。
補足
「事業所得=年収」として入力すると、当ソフトで計算される社会保険料や税金の額は、実際より少なく計算されます。
しかし社会保険料や税額以上に、収入額を少なく見積もることとなるので、厳しめのシミュレーションを検討していることになります。
副業や不動産賃貸収入を「自営業」で設定できる
いわゆる雑所得や不動産所得に該当する収入を「自営業」として入力することもできます。
この場合は、上記の 自営業の年収についての考え方 と同じ考え方にもとづき、
収入−仕入−支出を伴う経費額
で計算された金額を入力して下さい。
(不動産収入においては、減価償却を引き算しない金額となります)
定期収入で入力した場合との違い
副業や不動産賃貸収入を、定期収入の画面 で入力してもかまいません。
「働き方と年収(自営業の場合)」「定期収入」のどちらの画面で入力しても、キャッシュフロー上の収入の額と認識される点は同じです。
ただし、下記の違いがあります。
「働き方と年収」で入力した場合
入力した年収額は、社会保険料と税額の計算において、所得の額とみなされます。
その結果、社会保険料と税金の額が上昇します。
この所得は、総合課税とみなして計算されます。
副業による雑所得や、不動産賃貸収入は、現実には社会保険料と税額の計算対象となることから、実際の制度に近いシミュレーションができることになります。
「定期収入」で入力した場合
入力した収入の額は、社会保険料と税額の計算において、所得の額とはみなされません。
いわゆる非課税所得という取り扱いとなります。
複数の働き方の参考事例
世帯主、配偶者のそれぞれで、複数の働き方を登録できます。
将来に、会社員・自営業といった働き方が変化する場合、年収が大きく変化する場合に、複数の働き方を登録すると、より精度の高い収入シミュレーションが可能になります。
以下に、いくつか例を示します。
定年後の再雇用
- 現在の働き方を60歳まで続ける。
年収の上がり方は、日本の平均的な年収上昇率で見積もる。 - 60歳で定年となり、61歳から5年間だけ再雇用で働く。
- 61歳からの年収は、あらかじめ予想される金額(300万円)を設定してシミュレーション
年収が正しく入力できているかを(重複や不足がないか)、グラフや西暦表示でもご確認下さい。
年収が下がる転職
- 現在の会社で、あと3年間(45歳まで)働く。
- その後転職を検討。転職後は、年収が3割下がる想定。その会社で70歳まで働く。
下記画面のように、年収グラフにマウスカーソルを重ねると(スマホでタップすると)、45歳時点の年収額を確認できます。その年収に0.7をかけた額を、転職後の年収として設定します。
年収が正しく入力できているかを(重複や不足がないか)、グラフや西暦表示でもご確認下さい。
会社を辞めて独立開業
- 現在の会社で、50歳まで働く。
年収の上がり方は、日本の平均的な年収上昇率で見積もる。 - 51歳から、独立開業して自営業で働く(70歳まで)
- 自営業では、最初は年収300万円。少しずつ事業が軌道に乗り、年収は年2%ずつ上昇する。
年収が正しく入力できているかを(重複や不足がないか)、グラフや西暦表示でもご確認下さい。
専業主婦期間を経て、再び働き始める
- 今の会社で32歳まで働く。
- 32歳からは子育てに専念するため、専業主婦を選ぶ
- 子どもが大きくなったころから、再び働き始める。その時はパートで働く。
副業をする
- 60歳まで、今の会社でパートで働く予定。
- 来年からしばらくは、パートをさらに掛け持ちする(副業)
会社員の方が、パートや自営業で副業をする場合も、同じように登録できます。
税金と社会保険料は、両方の働き方がある前提で、実際の制度と同様に計算されます。
個人事業と会社社長の兼務
- 個人事業で収入がある場合はそれを登録
- 会社社長の立場で給与を得ている場合は「会社員」の働き方で登録
税金と社会保険料は、両方の働き方がある前提で、実際の制度と同様に計算されます。
徐々に働き方を緩くする自営業
- 54歳までは、今の調子で自営業を続ける。
年収が正しく入力できているかを(重複や不足がないか)、グラフや西暦表示でもご確認下さい。
不動産賃貸も併用する
- 60歳まで、公務員として働き続ける。
- 2年後から、不動産投資を行う。
- 不動産投資で年間100万円の収入、20年間のローンを払い終えたあとは、不動産投資の収入が200万円になる。
年収を1年ごとに金額調整(FPユーザー向け)
この機能はFPユーザーのみが利用できます。
上記の操作手順で、大まかな生涯の年収を設定できます。
さらに細かく設定したい場合は、1年ごとに金額を調整することもできます。
「上記の登録内容をもとに、1年ごとに金額調整する」で、はいを選び、設定ボタンを押してください。
1年ごとに金額を調整する方法
下記の画面で、1年ごとに金額を書き換えることができます。
例えば、次のような場合にご活用いただけます。
- 休職する期間があるので、その期間だけ年収を0にしたい
- 産休・育休により、数年間だけ年収を2/3くらいに金額変更したい
- 臨時的なボーナス、報酬が得られることが分かっているので、それを反映したい
- 1年ごとに金額を細かく入力したい
1年ごとに金額を調整した場合、その金額でキャッシュフロー表に金額が計上されます。また、その金額に基づいて老後の年金額、社会保険料の計算もなされます。
レポートへの反映
年収を1年ごとに金額調整したかどうかは、レポートの「今後の勤労収入・退職金について」のページからも見分けることができます。
年収を1年ごとに金額調整した場合は、「下記の内容から、さらに金額調整あり」という表示がなされます。
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